ドローン測量は、測量方法によって写真測量・レーザー測量・グリーンレーザー測量の3種類に大別されます。
写真測量

写真測量は、ドローンで上空から写真(航空写真)を撮影して測量する方法をいいます。デジタルカメラなどの機材で複数の航空写真を撮影し、建物や地形情報やドローンの座標をもとにデータを作成します。ドローン測量の中でもポピュラーな手法で、主に工事現場や土木現場に適しています。
写真測量のメリット
写真測量のメリットは主に3つあります。
- 機材がレーザーよりかは安価
- 高解像度のデータが取りやすい
- 色彩情報を確認できる
写真測量は航空写真を撮影するだけでよいため、専門的な機材は必要ありません。導入費用が安価で済む分、測量にかかるコストも抑えることが可能です。
また、カメラの解像度によっては精密なデータ取得が可能です。
写真測量のデメリット
一方、写真測量のデメリットは次のとおりです。
- ドローン測量の知識や技術によって精度の差が出やすい
- 精度はレーザー測量に劣る
- 森林など障害物が多い場所には不向き
写真測量は航空写真をもとに測量するため、レーザー測量と比べて精度が劣ります。また、森林など地形が複雑な場所には向いておらず、森林の地表面や建物の隙間など写真に写っていない部分はデータ化されません。また、飛行技術や解析技術によって精度等の差異が出やすいため技術力が必要になります。
写真測量が向いているシーン
写真測量は、広いエリアを一度に俯瞰しつつ、建物や地形の概要を把握したい場合に適しています。例えば、都市計画や農業の現場で全体のレイアウトを確認したり、建設工事の進捗状況を大まかにつかむ際などが代表的です。カメラの解像度によって、地上の細かい部分も鮮明に映し出せるため、雑草の繁茂具合や稲穂の育成状態などを視覚的に捉えることが可能になります。コスト面でも導入しやすい点が魅力なので、高精度を必ずしも必要としないプロジェクトや、遠隔地の概況調査には特に向いている方法です。
レーザー測量

レーザー測量は、3Dのレーザースキャナー(LS)を使って地形を測量する方法をいいます。ドローンで上空から地表に向けてLSを照射し、光の反射時間・強度などをもとに測量データを作成します。レーザーは障害物・遮蔽物の隙間をを通り抜けるため、森林や山間部など複雑な地形の測量が可能です。
レーザー測量のメリット
レーザー測量のメリットは以下の3つです。
- 高精度のデータが得られる
- 複雑な地形の測量も可能
- 広範囲をスピーディに測量できる
レーザー測量は精度が高く、写真測量と比較して高精度なデータを取得できます。また、森林や山間部などの複雑な地形の測量に適しており、人が入れない場所でも測量可能です。また、樹木の葉の隙間から地表面データを取得することができます。
広範囲をスピーディに測量できることもメリット。従来よりも短期間での測量が可能になります。
レーザー測量のデメリット
一方、レーザー測量のデメリットともいえるのがコストです。LSなど専門的な機材が必要になるため、写真測量と比較して費用が高くなる傾向があります。もしレーザー測量を必要とする場合、予算は多めに見積もっておくとよいでしょう。
レーザー測量が向いているシーン
森林や山間部のように樹木や岩が多く、人の立ち入りが難しい場所ではレーザー測量が力を発揮します。レーザー光は障害物の隙間を通り抜けるため、地表面の形状を詳細に捉えることができ、高低差や斜面の崩落リスクなどを正確に評価できます。また、大規模な災害現場で広範囲を一気に測定したい場合にも短時間で膨大なデータを取得できるため、復旧計画の策定や被害状況の把握に役立ちます。インフラ設備の点検や道路の整備でも、精度が求められる箇所でよく採用される手法です。
グリーンレーザー測量

グリーンレーザー測量は、水の影響を受けにくいレーザーを使用するドローン測量です。ドローンで上空からレーザーを照射すると、水底までの距離を高い精度で測量できます。水の透明度の影響は受けますが、河川や海岸など水辺と陸地を同時に測量可能です。
グリーンレーザー測量のメリット
グリーンレーザー測量のメリットは、通常のレーザー測量よりも水の影響を受けにくい点です。レーザーが水を通り抜けますので、水辺での高精度なデータを取得できるのがメリット。川底や海底などの高精度な地形図を作成したい時に適しています。
グリーンレーザー測量のデメリット
グリーンレーザー測量のデメリットは、機材が大型になりやすい点です。LSが大型な分、ドローンも相応に大きなものが求められます。写真測量やレーザー測量に比べ、ドローンの選択肢が狭まることに注意が必要です。
- 機材が高価
- 業務案件が少ない
グリーンレーザー測量が向いているシーン
河川や湖沼、海岸線など、水域を含む調査に向いているのがグリーンレーザー測量です。通常のレーザーと異なり、水中をある程度透過する性質を活かし、川底や海底の形状を把握できます。そのため、堆砂状況を確認したり、ダムの貯水量を正確に評価したい現場などにおすすめです。また、海岸線の浸食状況や河川の流路を陸域と同時に測定できるため、陸から水域まで一体的に管理すべきプロジェクトにおいて非常に有効です。ただし、機材の大きさやコスト面の制約があるため、必要性や予算に合わせた慎重な運用計画が求められます。
航空レーザー測量とは何か?
レーザー装置を航空機に搭載し、地表に向けてレーザーを照射して広い範囲を測量する方法が「航空レーザー測量」です。ドローンが多く使用されるようになる前は、この航空レーザー測量が主に使用されていました。密度の高いデータの取得が可能である点、レーザーの通り抜けが可能なのであれば、一部山林なども地表の測量ができる点がメリットとして挙げられます。また、航空レーザー測量では上空からの測量を行うため、人が入っていけない場所の測量が可能という面もあります。
このようにさまざまなメリットがある航空レーザー測量ですが、雲や雨の影響を受けるためにデータの正確性が天候により左右される点、狙った地点へのレーザー照射ができないことから局所的な測量ができないといった点がデメリットとして挙げられています。