株式会社柳土木設計事務所/栁土地家屋調査士法人の代表で、測量士・土地家屋調査士を保有している柳和樹氏。早期から「ドローン測量に可能性」を見出し、研究から携わっています。
長く測量に携わってきたノウハウを生かし、撮影技術の確立や測量データの収集など、ドローン測量を実用化するために、飛行方法や解析ソフトの手法も大手メーカーと協力し、ドローン測量業務を確立。高クオリティかつ幅広い要望に対応するドローン測量を提供しています。
柳和樹氏

柳和樹氏

1日に測量できる面積はどれくらい?

一般的に、1回のバッテリーで測量できる範囲は、数ヘクタールから数十ヘクタール程度です。
もちろん、バッテリー交換の時間を考慮すると、1日で測量できる範囲はさらに広がります。
ドローン測量で1日に測量できる範囲は、以下の要素によって大きく変動します。
- ドローンの性能: バッテリーの持ち時間、飛行速度、搭載カメラの性能など
- 測量の目的: 高精度な測量か、概略的な測量か
- 測量対象の地形: 平坦な土地か、起伏の激しい土地か
- 気象条件: 風速、視界など
- 法規制: 飛行禁止区域、許可が必要な区域など
1日に測量できる範囲を左右する要素とは?

ドローン測量で1日に測量できる範囲は、様々な要素によって左右されます。
正確な範囲を知りたい場合は、ドローンメーカーや測量業者に相談することをおすすめします。
一般的には、以下の要素が考えられます。
- ドローンの性能:
バッテリーの持ち時間が長ければ、一度に広い範囲を測量できます。
高速で飛行できるドローンは、短時間で広範囲をカバーできます。 高解像度のカメラを搭載していれば、より詳細なデータを取得できます。 - 測量の目的:
高精度な測量の場合は、オーバーラップ率を高く設定する必要があるため、時間がかかります。
概略的な測量であれば、オーバーラップ率を低く設定できるため、短時間で測量できます。 - 測量対象の地形:
平坦な土地であれば、効率的に測量できます。
起伏の激しい土地や、障害物が多い場合は、飛行経路を細かく設定する必要があるため、時間がかかります。 - 気象条件: 風が強い日や視界が悪い日は、安全な飛行が難しいため、測量を中断する必要があります。
- 法規制: 飛行禁止区域や許可が必要な区域では、測量を行うことができません。
ドローン測量は、地上測量と比較して、どのくらい時間とコストを短縮できるのか?

たとえば、40ha(東京ドーム8.5個分)の土地の場合、ドローン測量では1~2日で測量が可能ですが、同じ広さを地上から測量した場合、数か月かかることがあります。
日数がかかる分、人件費がかかるわけですので、ドローン測量が約800万円なのに対して、地上の場合は約3000万円ぐらいかかると予想されます。
また、5ha(東京ドーム約1個分)程度の土地の場合は、ドローン測量2週間に対して地上からでは1カ月程度、費用にして、130~150万、地上は400万~500万円かかります。
逆に、1ha(ヘクタール)に届かないような広さの土地や住宅地などでは、地上から測定するほうが、効率的でコストも安く済みます。
どの程度短縮できるか?
- 時間: 従来の地上測量と比較して、数分の1から数十分の1の時間で測量できるケースも少なくありません。
- コスト: 人件費、機材費、データ処理費などを総合的に考えると、数分の1から数割のコストで済むケースもあります。
時間を短縮できる要因は何?
- 広範囲な測量: 広大な土地の測量では、ドローンは短時間で広範囲をカバーできるため、測量時間が大幅に短縮されます。
- 人件費の削減: ドローンは自動飛行が可能であり、危険な場所やアクセスしにくい場所の測量も安全に行うことができるため、人件費を削減できます。
- データ処理の効率化: ドローンで取得したデータは、専用のソフトウェアで迅速に処理できるため、データ解析の時間も短縮されます。
- 測量頻度の向上: ドローンは手軽に飛ばせるため、定期的な測量を容易にし、変化の激しい状況を迅速に把握できます。
時間を短縮できないケースとは?

ドローン測量は、時間とコストに対して多くのメリットがあります。
しかし、全てのケースで時間を短縮できるとは限らず、以下のようなケースでは、時間がかかることがあります。予備日を設定するなど、余裕を持ったスケジュール設定が必要になります。
- 高い精度を擁する測量: 高精度の測量が必要な場合は、地上測量との組み合わせや、より高性能なドローンが必要になる場合があります。
- 法規制の影響: 飛行禁止区域や許可が必要な区域など、ドローンを自由に飛ばせない場所がある場合は、測量に時間がかかることがあります。
- 気象条件の影響: 強風や雨などの悪天候時は、ドローンを飛ばすことができず、測量を中断する必要があります。
ドローン測量のほうがコスト的に優位な面積や精度は?

地上測量とドローン測量、どちらがコスト的に優位かは、様々な要素によって変わってきます。
一般的に、広範囲の測量やアクセスが困難な場所の測量において、ドローン測量の方がコスト的に優位となるケースが多くあります。
ドローン測量がコスト的に優位になるケース
- 広範囲な測量: 広大な土地の測量では、ドローンは短時間で広範囲をカバーできるため、測量時間が大幅に短縮され、結果的にコスト削減につながります。
- アクセスが困難な場所の測量: 斜面、崖、水辺など、人が立ち入ることが難しい場所の測量は、ドローンであれば安全かつ効率的に行うことができます。
- 測量頻度の高い場合: ドローンは手軽に飛ばせるため、定期的な測量を容易にし、結果的にコストを抑えることができます。
- 3次元データが必要な場合: ドローンは高解像度のカメラを搭載しており、3次元点群データなどを取得することで、詳細な地形データを得ることができます。
地上測量がコスト的に優位になるケース
- 高精度な測量: 数センチ単位の高精度な測量が必要な場合は、地上測量の方が適しています。
- 狭い範囲の測量: 非常に狭い範囲の測量では、ドローンを飛ばすための準備時間やコストが割高になる場合があります。
- 障害物が多い場所: 木々や建物など、障害物が多い場所では、ドローンが飛行できない場合があり、地上測量が必要になります。
この条件なら、どっちがコスト的に有利?
- 測量範囲: 広範囲→ドローン測量、狭い範囲→地上測量
- 測量精度: 高精度→地上測量、概略的な測量→ドローン測量
- 地形: 平坦な土地→ドローン測量、起伏が激しい土地→地上測量
- 障害物: 障害物が多い場所→地上測量
- 測量頻度: 頻繁な測量→ドローン測量
- データの種類: 3次元データが必要→ドローン測量
機材を借りて自社で測量することはできるのか?

ドローン測量の機材をレンタル、または購入して自社のために自社で測量することは可能です。
近年、ドローン測量への関心が高まり、機材レンタルサービスを提供している企業も増えてきました。自社で必要な測量を自社でやるのは、測量士の資格がなくても基本的に問題ありません。
しかし、安全かつ正確な測量を行うためには、事前に十分な準備と知識の習得が必要となります。
自社で測量を行う際の注意点
- 人員の確保: ドローン操縦者だけでなく、測量データの処理や解析を行う人員も必要になります。
- 知識の習得: ドローン測量には専門的な知識と技術が必要となるため、事前に十分な知識を習得しましょう。
- 安全対策: ドローン操縦は安全に行う必要があります。安全対策を徹底し、事故防止に努めましょう。
データ処理や解析、測量技術、事故防止への対策が十分にできない場合は、ドローン操縦と測量士の資格を持つ専門業者への依頼を検討するのが賢明です。