ドローン測量の飛行高度設計

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ドローン測量は、現場の状況を正確に再現するために欠かせない手法です。そのなかでも飛行高度の設定は、データの精度と安全性を左右する重要な要素です。高度が高すぎれば解像度が落ち、低すぎれば危険や作業効率の低下を招きます。法律の制約やGSD(地上画素寸法)の関係を正しく理解し、現場に合った高度を設計することが成果の安定につながります。この記事は、その飛行高度をどのように決めるべきかを解説します。

ドローン測量で守るべき飛行高度の考え方

ドローン測量の高度設計は、機体の性能だけでなく、航空法に基づくルールで大枠が決まります。日本では地表または水面から150m以上の空域を飛行する場合は原則として事前の許可が必要で、空港等の周辺や催し場所の上空、危険物輸送や物件投下などの特定方法も申請対象です。測量であっても適用除外ではないため、計画段階で場所と高度と飛行方法を整理し、該当すれば許可・承認の取得を先に済ませると、現地での判断が迷いにくくなります。なお150mは「上限」とは言い切れず、適切な許可を得れば150mを超える飛行も可能です。

参照元:国土交通省 無人航空機の飛行ルール(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html)

参照元:国土交通省 飛行許可・承認手続(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html)

ドローン測量の飛行高度は法律で決められる

評価の基準は対地の高さで、日本のルールでは「地表または水面からの高さ」と表現されます。丘陵地や造成中の切盛土では同じ高度設定でも対地高度が場所ごとに変わるため、申請の要否や安全距離の見通しを地形と合わせて確認しておくと安心です。関連して、機体登録とリモートIDは原則必須ですが、操縦者技能証明は一部の特定飛行を除き必ずしも義務ではありません。必要となる場面と任意となる場面を区別し、要件に応じて手続きを選ぶと無理がありません。

参照元:国土交通省 無人航空機の飛行ルール(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html)

参照元:国土交通省 無人航空機の登録制度(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_ua_registration.html)

参照元:国土交通省 無人航空機操縦者技能証明等(https://www.mlit.go.jp/koku/license.html)

ドローン測量の目的に合う飛行高度の決め方

測量の画質と寸法精度は「地上画素寸法(GSD)」で把握できます。GSDは一画素が地上で表す長さで、数値が小さいほど細部の再現性が上がります。GSDは飛行高度とカメラの焦点距離、センサーの画素ピッチで決まるため、先に必要GSDを合意し、そこから対地高度を逆算すると設計のぶれが減ります。路面や法面の細部を読み取りたいときは小さめのGSD、広い造成エリアの出来形や土量の概算が目的なら少し大きめのGSDでも成立するケースが多いです。

ドローン測量で使うGSDと飛行高度の計算

現場で使いやすい簡便式は、GSD=H×ピクセルサイズ/焦点距離です。ここでHは対地高度、ピクセルサイズは撮像素子の画素ピッチです。たとえば画素ピッチ2.4µm、焦点距離8.8mmのカメラでGSDを3cmに設定するなら、H=30mm×8.8mm/0.0024mm≒110,000mm、すなわちおよそ110mが目安になります。同条件でGSDを2cmにすると約73mが目安です。カメラ仕様を差し替えれば同じ式で容易に再計算できます。

ドローン測量の飛行高度と地形に合わせる工夫

起伏の大きい現場では、同じ高度でも場所によりGSDが変わります。地形追従のミッションを使うと対地高度を一定に保ちやすく、現場全体で解像度をそろえやすくなります。DJI Pilot 2は地形フォローに対応しており、DSMやDTMを読み込んで高度を補正しながら飛行できます。ソフトの更新で斜め撮影や線形計画との併用もしやすくなっているため、造成地や法面の多い場所では検討の価値があります。

ドローン飛行高度の計測誤差に関与する要因

高度は気圧高度計とGNSSとIMUの情報を総合して推定されます。気圧の変動や温度差、機体の姿勢変化、センサーのキャリブレーション不足は推定精度を下げます。GNSSは平面より高さ方向の誤差が大きく出やすいため、RTKやネットワーク型RTKで補正して安定度を高め、離陸点を基準にした相対高度の運用で気圧変動の影響を抑えると、測量に求める再現性に近づきます。

参照元:国土地理院「GNSS測位とは」(https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_aboutGNSS.html)

参照元:Pilot Institute「How Accurate Are Drone Altimeters?」(https://pilotinstitute.com/drone-altimeters/)

ドローン飛行高度の計測誤差を小さくする手順

誤差の抑制は準備の質で大きく変わります。基準点の配置を優先してRTKの安定化を図り、離陸点の気圧補正を済ませてから飛行に移ると、その後の処理が整います。機体のIMUとコンパス、カメラのキャリブレーションを出発前に行い、飛行中は重複率を確保した等高度のグリッドで無理のない速度を保つと、姿勢変化によるブレを抑えられます。処理段階では品質レポートでRTKのドロップや再投影誤差を確認し、必要に応じて追加GCPで補強すると安心です。

参照元:国土地理院「UAVを用いた公共測量」(https://www.gsi.go.jp/KOUKYOU/sokuryosidou41042.html)

ドローン測量で守る流れと飛行高度の位置づけ

公共測量相当で進めるなら、計画、許可・承認と飛行計画、基準点整備、撮影、解析、検定の順で管理します。飛行高度の設計はその中心で、法令適合とGSDの達成、地形追従、安全距離の四点を同時に満たすことが目的になります。国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」や作業規程の準則に沿えば、精度管理と記録の残し方まで見通しが立ちます。

参照元:国土地理院「UAVを用いた公共測量」(https://www.gsi.go.jp/KOUKYOU/sokuryosidou41042.html)

ドローン測量の飛行高度を選ぶ具体例

造成現場で出来形の確認誤差をおよそ±5cmに収めたい場合、GSDは2〜3cmを出発点にすると設計が進めやすくなります。前述の式を用いれば、画素ピッチ2.4µmで焦点距離8.8mmのカメラでは、GSD2cmで約73m、GSD3cmで約110mが計算上の目安になります。丘陵地では地形フォローを併用してGSDの均一性を確かめ、150mを超える必要が生じる場合は許可取得の可否を先に判断します。法面や構造物の細部を丁寧に把握したいときは、低高度の斜め撮影を足すとエッジやテクスチャの再現が安定します。

参照元:Pix4D「Ground sampling distance (GSD)」(https://support.pix4d.com/hc/en-us/articles/202559809)

参照元:セキド公式ブログ「地形フォロー解説」(https://sekido-rc.com/blog/2022/10/20/application_0076/)

まとめ

ドローン測量の高度は、法令の要件を満たしたうえでGSDから逆算して決めると、目的に沿った計画に落とし込みやすくなります。地形追従で現場全体の解像度をそろえ、RTKと基準点で高さの不確かさを抑えます。最後に品質レポートで数値を確かめ、必要に応じて追加GCPや再フライトで補正すれば、山地や市街地でも安定した成果に近づきます。

本メディア監修Sponsored by柳⼟⽊設計事務所について
土地家屋調査士や測量士による高品質なドローン測量を提供

柳⼟⽊設計事務所は、ドローン事業をはじめ、土木設計や不動産登記などを手がけている会社です。
測量士・土地家屋調査士の資格を持つ栁 和樹代表は、早期から「ドローン測量に可能性」を見出し、研究から携わっています。長く測量に携わってきたノウハウを生かし、撮影技術の確立や測量データの収集など、ドローン測量を実用化するために飛行方法や解析ソフトの手法も大手メーカーと協力し、ドローン測量業務を確立してきました。
これまでに、さまざまな企業・自治体との実績を通じて、豊富なノウハウを持っており、高クオリティのドローン測量を提供。全国各地の専門家や同業者とも連携して、幅広い要望に対応しています。

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引用元URL:柳⼟⽊設計事務所公式HP (https://y-dssc.com/)
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