いま増えている無資格業者問題
安価を謳うドローン測量業者が増えているといったほうが正しい表現ですが、こういった場合、測量士の資格をもたない業者が多いのが実情です。
無資格でも許可されるのは、自社のための測量を自社が行う場合のみです。事業として行う場合は、「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」では、「ドローン操縦に関する国家資格」の取得が推奨されており、また、このマニュアルは、そもそも測量士や測量士補の資格者を前提としていることも明記されています。
安すぎるドローン測量業者に依頼することは、実にさまざまなリスクが伴います。測量結果は、不動産取引や建設工事など、重要な意思決定の根拠となるものです。そのため、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。
そもそも、ドローン測量を業務として行う場合、測量士資格は必須です。
測量士の資格を持たない業者に依頼することは、精度への保証ができないだけでなく、法的な問題や技術的な問題を引き起こす可能性があります。取得したデータを第三者に漏洩させてしまうなど、セキュリティリスクもないとはいえません。また安価である分、測量だけで解析やデータ作成はしてもらえず、納品されたデータがパソコンで開けないというケースも。
安全かつ正確な測量を行うためには、価格に踊らされず、測量士の資格を持つ業者に依頼することが大前提となります。
柳和樹氏

柳和樹氏

取得データのさまざまな活用法
ドローン測量で取得したデータは、土木建設業や森林測量、土量測量…など、一般的な測量のほかに身近なところでも活用が始まっています。
たとえば、不動産鑑定士の業界において、ドローン測量は、物件の評価精度向上に大きく貢献しています。物件の形状や大きさ、高さを正確に把握することが可能となり、容積率や建ぺい率の算出、日照シミュレーションなど、より詳細な分析が可能になります。周辺の道路状況、建物、緑地、水路などの状況を詳細に把握することができます。日中の様々な時間帯に撮影することで、日照状況を詳細に把握することができます。これは、マンションなどの集合住宅の評価において特に重要です。周辺の景観を評価し、物件の価値に与える影響を分析することができます。
前述の不動産鑑定とも関連しますが、ドローン測量は相続にも活用できます。従来の測量方法に比べ、より迅速かつ正確なデータを取得できるため、相続手続きを円滑に進める上で大きなメリットをもたらします。
たとえば、不動産の境界線が不明確な場合、ドローンによる空撮で、周辺の地形や建物との関係を明確にし、境界線を正確に確定することができます。建物の老朽化状況、増改築の有無などを、地上からは確認しにくい箇所もドローンで詳細に確認できるので、不動産の評価額算定に利用できます。ドローンで取得したデータに基づき、正確な分割図を作成できます。不動産を複数の相続人が共有する場合、各相続人が公平に分割できるよう、ドローン測量によって得られたデータを活用できます。