ドローン測量を検討する段階で「SfMソフトとは何か」が分からず、写真測量ソフトとの違い、オルソや点群は作れても座標や精度は説明できるのか、と不安が残りやすいです。この記事ではSfMソフトの定義、作れる成果物、精度と品質評価、公共測量での位置付け、選定の着眼点を解説します。
SfMソフトとは
SfMはStructure from Motionの略で、複数の2次元画像から3次元構造を推定する処理です。ドローン測量で言う「SfMソフト」は、この処理を核にしながら、画像の位置合わせ、点群生成、座標付け、成果物出力までを一連で扱う統合ツールとして呼ばれることが多い、と捉えると整理しやすくなります。ここで押さえたいのは、SfMは手法の名前で、ソフトはその手法を実務で回すための道具だという点です。手法を理解しておくと、同じ現場写真でも、なぜ成果物の出来が変わるのか、どこを疑うべきかが見えやすくなります。
SfMソフトで作れる成果物とオルソ・DSM・点群の関係
入力は、重なりを確保して撮影した多数の写真です。処理の結果として、点群、オルソモザイク、DSM、必要に応じてメッシュが生成されます。オルソは歪みを補正した地図状の画像、DSMは地表面を高さで表したモデル、点群は地形や構造物を点で保持するデータで、出来形確認や土量算出、CADやGIS連携の基礎になります。現場では「とりあえず点群が出た」だけでは不十分で、どの成果物を最終成果として出すのか、途中の生成物を何に使うのかを先に決めるほど、撮影計画や品質確認がやりやすくなります。
参照元:Pix4D公式HP(https://www.pix4d.com/jp/product/pix4dmapper-photogrammetry-software/)
SfMソフトの精度と座標の考え方
画像だけでSfMを行うと、復元結果は尺度が確定しないため、現実のメートル単位へ正しく合わせるには追加情報が必要になります。そこで測量では、GCPのような既知点や、RTKやPPKで付与した撮影位置情報を使って座標系に載せ、検証点や品質指標で誤差を説明できる状態を作ります。ここで大事なのは、精度はソフトが自動的に保証してくれるものではなく、観測条件と手順、そして検証のセットで初めて説明できるという感覚です。たとえば、同じ機体と同じソフトでも、写真の重なりが不足していたり、均一な路面のように特徴が少なかったりすると、位置合わせが不安定になりやすく、局所的な歪みとして現れます。結果の見た目がそれらしくても、検証点で確認すると誤差が大きいことがあるため、品質評価を工程として組み込むことが現場では欠かせません。
公共測量でのSfMソフトの位置付け
公共測量が絡むと、成果を第三者へ説明できる形で残す必要が強まります。国土地理院は、『UAVを用いた公共測量マニュアル(案)』を公表し、作業規程準則第17条第3項に基づく新しい測量技術のマニュアルとして位置づけています。UAV写真測量を公共測量として実施する場合は、作業規程の準則およびこのマニュアルに沿った作業を行うよう案内しています。
参照元:国土地理院公式HP(https://www.gsi.go.jp/common/000258812.pdf)
SfMソフトの種類と代表例
SfMソフトは、提供形態と得意領域で見え方が変わります。デスクトップ型はローカルで処理と保存を完結しやすく、処理設定を固定して再現性を確保したい運用と相性が合います。クラウド型は関係者との共有やレビューが進めやすい一方、データの保管、権限、持ち出し制限などを先に決めないと運用が詰まりやすいです。オープンソース系は自由度が高い反面、導入と保守の責任が自社側に寄るため、検証手順と担当分担を先に固めるほど安定します。
参照元:OpenDroneMap公式ドキュメント(https://docs.opendronemap.org/)
PIX4Dmatic
PIX4Dmaticは、ドローン画像から点群、DSM、オルソモザイク、テクスチャ付きメッシュなどを生成する、写真測量ワークフローの統合型として把握しやすい代表例です。現場で意識したいのは、成果物を出すこと自体よりも、撮影条件やGCP設定、処理の品質確認を一連の流れで回せるかどうかです。たとえば品質確認の指標や、処理結果のレビュー導線が用意されていると、複数案件を並行するチームでも判断が揃いやすくなります。
参照元:Pix4D公式HP(https://www.pix4d.com/jp/product/pix4dmapper-photogrammetry-software/)
Terra Mapper
Terra Mapperは、Terra Droneが提供する測量向けのソフトとして、三次元データ作成から解析までを一つの流れで行える点が特徴です。たとえばGCPの自動認識による作業の進めやすさや、不要物の自動除去、縦横断図の取得、土量計算・土量比較といった、出来形や施工管理の文脈で使いやすい解析機能が用意されています。国内ベンダーの製品としてサポートや更新情報も含めて運用設計しやすい選択肢になるため、公共測量や出来形で「成果物だけでなく、説明責任まで含めて回したい」場合は比較対象に入れておくと判断がぶれにくくなります。
参照元:Terra Mapper公式HP(https://mapper.terra-drone.net/product/desktop/)
Agisoft Metashape
Agisoft Metashapeは、フォトグラメトリ処理によって3D空間データを生成するスタンドアロン製品として紹介されています。ここでの比較軸は、成果物の種類そのものよりも、案件規模や写真枚数に対してどの程度の処理設計が必要か、検証を含めて運用できるかです。測量用途では、点群が高密度であるほど良いというより、ノイズや欠損を把握し、必要な精度を説明できるかが優先されるため、品質の見方を先にチーム内で統一しておくと導入が滑らかになります。
参照元:Agisoft公式HP(https://www.agisoft.com/)
DJI Terra
DJI Terraは、DJIのサポート情報や配布ページが用意されていることからも分かる通り、DJI機体の運用と合わせて検討されやすい系統です。現場での判断ポイントは、撮影計画から処理、共有までをどこまで一体で回すかです。機体運用を中心に据えると、担当者が扱える範囲が広がる一方で、公共測量や出来形で求められる座標・検証の説明責任を、どの工程で担保するのかを明確にしないと、成果の使いどころで迷いが出ます。
参照元:DJI公式HP(https://www.dji.com/jp/support/product/dji-terra)
WebODM
WebODMは、ドローン画像処理で地理参照付きの地図、点群、標高モデル、テクスチャ付き3Dモデルを生成できるソフトとしてドキュメントで説明されています。オープンソース系を含む複数エンジンに触れられる点は魅力ですが、導入後に効いてくるのは運用です。処理環境の準備、更新対応、ログの残し方、障害時の切り分けまで含めて手順化できると、コスト面のメリットが現場の安定につながります。逆に、担当が曖昧なまま始めると、成果は出ても継続が難しくなりやすいので、最初に責任範囲を区切る発想が重要です。
参照元:WebODM公式ドキュメント(https://docs.webodm.org/)
RealityScan
RealityScanは、旧RealityCaptureが名称変更されたことを公式ニュースで告知しています。測量用途の文脈では、メッシュやテクスチャを重視する系統は、見た目の再現性が高い一方で、座標や検証の説明に必要な出力や手順が、写真測量統合型と同じ発想で揃うとは限りません。3Dモデル制作寄りの強みを理解しつつ、測量や出来形で必要な成果物と品質証跡が揃うかを、導入前に確認しておくと迷いが減ります。
まとめ
SfMソフトは、複数の写真から3次元形状を復元し、点群・オルソ・DSMなどの成果物を一連の流れで作成するためのソフトです。現場で重要なのは、成果物を出すこと自体ではなく、GCPやRTK/PPKで座標系に正しく載せ、検証点や処理レポートなどの証跡で精度を説明できる状態に整えることです。公共測量に関わる場合は、作業規程の準則と関連マニュアルに沿って工程と記録を整備し、第三者が確認できる品質管理まで含めて運用することが重要です。
参照元:国土地理院公式HP(https://www.gsi.go.jp/KOUKYOU/sokuryosidou41042.html)


