日本国内におけるドローン測量の基準とマニュアル
ドローン測量を行う場合には、空撮した画像の解析を行い、3Dデータを作成することが必要となります。この時の指針とされているのが、国土地理院により定められている「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」と呼ばれるものです。
このマニュアルでは、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle 通称ドローン)を用いて高い精度の測量を実施するための基準や作業手順などが定められており、ドローンの精度は「平面位置と高さともに最大0.05m以内の誤差にする」という基準が記載されています。詳しい内容については、国土地理院のホームページにて確認することができます。
ドローン測量の「オーバーラップ率」について
上記でご紹介した「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」を基準とした要求制度を満たすためには、あらかじめ立てる飛行計画において、ルートの設定が大切なポイントとなります。ここで重要なのが、「ラップ率」の設定です。
ドローンを使用して空中測量を行う場合、気温や時間、風といったさまざまな影響によって誤差が発生する点を考慮しながら撮影を行う必要があります。そのため、縦(オーバーラップ)と横(サイドラップ)で重なるところを設けながら撮影していきます。ラップ率とは、撮影された画像やデータが隣接するエリアが「どれだけ重なっているか」を示した割合のことです。
ラップ率は「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」にて下記の通り定められています。
- 縦方向(オーバーラップ率):80%以上
- 横方向(サイドラップ率):60%以上
実際にドローン撮影を行う場合には、飛行アプリを利用してラップ率の自動計算を行い、決められた自動飛行のルートによってラップ撮影を行って往復することによって、設定したラップ率を保つことができます。
オーバーラップ率が基準化された理由と設定時に気をつけるべき点
上記の通り、オーバラップ率は縦方向に80%以上が基本となっています。
重複して撮影した2枚の写真を5〜6cmほど離して並行に並べ、右の目で右の写真、左の目では左の写真を見ることによって、画像が重複されて立体的に見えてくることを「実体視」といいます。この原理は写真測量における基本的な技術のひとつであり、ドローンによる空中写真を使用した測量にも応用されています。
また、単に写真が重なっていれば良いわけではなく、重なる写真の特徴点が少ないと思われる場合にはオーバーラップ率を上げるなど、現場の状況に合わせて検討すべきです。
ラップ率は地形により変化するため、設定を行う際に注意する必要があります。アプリでラップ率を設定したとしても変化する可能性も考えられることから、しっかりと計算することが大切です。この時、地形の高低差をチェックする場合には、現地調査を行うか国土地理院により公開されている地理院地図を使用します。
本メディア監修の柳土木設計事務所では、測量士/土地家屋調査士が、各分野の専門家と連携し
ドローン測量による境界確定から登記申請にも対応しています。